善意・悪意(ぜんい・あくい)とは?

善意・悪意とは、私法上の概念で、善意は「ある事情を知らないこと」、悪意は「ある事情を知っていること」を指します。この区別は、法律効果に大きな影響を与える重要な概念です。

特に、取引の安全と権利者の保護を図るため、善意の第三者は保護され、悪意の第三者は保護されないのが原則です。

善意・悪意の基本情報

善意の定義 ある事情を知らない状態
悪意の定義 ある事情を知っている状態
法的効果 善意者は保護され、悪意者は保護されない

適用例:虚偽表示の場合

虚偽表示の効力
  • 原則として無効
  • 善意の第三者には対抗できない
第三者の保護
  • 善意の第三者は有効に権利取得
  • 悪意の第三者は権利取得できない

法律効果の違い

善意の場合
  • 権利取得が保護される
  • 無効を対抗されない
  • 取引の安全が確保される
悪意の場合
  • 権利取得が否定される
  • 無効を対抗される
  • 取引が無効となる

具体例:不動産取引

仮装売買の場合
  • A→Bの売買が仮装
  • B→Cの売買が成立
善意のCの場合
  • Cの権利取得は有効
  • ABは無効を主張できない
悪意のCの場合
  • Cの権利取得は無効
  • ABは無効を主張できる

注意点

判断時期 権利取得時の認識が基準となります
立証責任 悪意の立証責任は主張者側にあります
調査義務 取引の性質に応じた相当の調査が必要です

実務上の対応

取引前
  • 権利関係の調査
  • 登記事項の確認
取引時
  • 確認書の取得
  • 経緯の記録

善意・悪意の区別は、取引の安全と権利者保護のバランスを図る上で重要な役割を果たしています。特に、虚偽表示のような無効な法律行為に関して、善意の第三者を保護する機能を持っています。

実務上は、取引の際に十分な調査を行い、善意であることを示す証拠を残しておくことが重要です。また、悪意との認定を避けるため、疑わしい事情がある場合は、専門家に相談するなど慎重な対応が求められます。

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