売主の瑕疵担保責任(うりぬしのかしたんぽせきにん)とは?

売主の瑕疵担保責任(現在の民法では「契約不適合責任」)は、不動産取引において重要な法的概念です。この責任は、売買契約で引き渡された物件が契約内容に適合しない場合に売主が負う責任を指します。

瑕疵担保責任(契約不適合責任)の基本情報

定義 売買契約で引き渡した目的物が契約内容に適合しない場合に売主が負う責任
法的根拠 民法の契約不適合責任規定
対象 種類または品質に関する契約不適合

買主の請求権

  • 追完請求(補修等の実施を求める請求)
  • 代金減額請求
  • 損害賠償請求
  • 契約解除権の行使

責任追及の期限

原則 買主が契約不適合を知った時から1年以内に通知が必要
例外 売主が不適合を知っていた、または重大な過失で知らなかった場合は期限なし

責任の免除

免責特約 一部の契約不適合について責任を負わない旨の特約が可能
免責不可 売主が知りながら告げなかった事実等についての責任は免除不可

新築住宅に関する特例

法的根拠 住宅の品質確保の促進等に関する法律
対象部分 構造耐力上主要な部分、雨水の浸入を防止する部分
責任期間 引渡しから10年間(最長20年まで延長可能)
特約 この特例による責任は特約で免除できない(強行規定)

瑕疵担保責任の変遷

旧民法 瑕疵担保責任として特別規定あり
改正民法(2020年4月1日施行) 契約不適合責任に統合・整理

瑕疵担保責任(契約不適合責任)の重要性

取引の安全性 買主の権利を保護し、公平な取引を促進
品質保証 特に住宅取引において、一定期間の品質保証を法的に担保
紛争予防 責任の所在を明確にし、取引後のトラブルを予防
市場の信頼性 不動産市場全体の信頼性向上に寄与

売主の瑕疵担保責任(契約不適合責任)は、不動産取引における重要な法的保護手段です。この責任規定により、買主は契約内容に適合しない物件を受け取った場合に、一定の救済を受けることができます。特に新築住宅については、長期にわたる特別な保護が法律で定められており、住宅の品質確保に大きな役割を果たしています。

不動産取引に関わる際は、この責任の内容と範囲を十分に理解することが重要です。売主にとっては、責任を負うリスクを適切に管理し、必要に応じて保険等の対策を講じることが求められます。買主にとっては、契約時に物件の状態を十分に確認し、問題が発見された場合は法定期間内に適切な手続きを取ることが大切です。また、責任の範囲や期間について特約がある場合は、その内容を慎重に検討する必要があります。適切な瑕疵担保責任(契約不適合責任)の理解と運用は、公平で安全な不動産取引の基盤となります。

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