抵当権消滅請求(ていとうけんしょうめつせいきゅう)とは?

抵当権消滅請求とは、抵当権が付いている不動産を取得した第三者(第三取得者)が、債権者に対して一定の金額を支払うことで抵当権を消滅させることができる制度です。2004年4月の民法改正により、旧来の「滌除(てきじょ)」から現在の制度に改められました。

制度の基本情報

法的根拠 民法第379条(2004年4月1日改正後)
請求権者 抵当不動産の第三取得者
目的 第三取得者の地位の安定化

制度の仕組み

請求手続き
  • 第三取得者が金額を提示
  • 債権者に抵当権消滅を要求
  • 債権者は2ヶ月以内に判断
債権者の選択肢
  • 提示金額での消滅を承諾
  • 任意競売の申立てを実行

手続きの流れ

第1段階 第三取得者が金額を提示して請求
第2段階 債権者が2ヶ月以内に判断
第3段階 抵当権消滅または競売手続開始

制度改正の主な変更点

名称 「滌除」から「抵当権消滅請求」へ
請求権者 地上権取得者の請求権が廃止
競売方法 増価競売から任意競売へ変更

具体例での説明

前提条件
  • 債権者A:融資額3,000万円
  • 債務者B:不動産P所有
  • 第三者C:不動産Pを500万円で購入
請求例 CがAに2,500万円での抵当権消滅を請求
結果 Aが2ヶ月以内に競売申立てなければ請求額で消滅

制度利用の注意点

提示金額 適切な金額設定が重要
期間遵守 法定期間(2ヶ月)の厳格な管理が必要
手続関係 法的手続きの正確な履行が必要

メリット・デメリット

メリット
  • 第三取得者の地位が安定
  • 任意の金額提示が可能
  • 手続きが明確
デメリット
  • 債権者が競売を選択する可能性
  • 提示金額の判断が難しい

抵当権消滅請求制度は、抵当権付きの不動産を取得した第三者の法的地位を安定させるための重要な制度です。2004年の民法改正により手続きが簡素化され、より使いやすい制度となりました。

この制度を利用する際は、提示金額の適切な設定や手続きの正確な履行が重要です。また、債権者が競売を選択する可能性も考慮に入れて、慎重に判断を行う必要があります。不動産取引の専門家に相談しながら進めることが推奨されます。

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