定期借地権(ていきしゃくちけん)とは?

定期借地権は、1992年8月1日に施行された新借地借家法によって導入された、従来の借地権とは異なる新しい形態の土地利用権です。この制度は、土地の有効活用と住宅供給の促進を目的として創設されました。

定期借地権の特徴

契約期間の確定性 あらかじめ定められた契約期間が満了すると、借地人は無条件で土地を地主に返還しなければなりません。これは、従来の普通借地権における正当事由の有無に関わらない点が大きな特徴です。
更新の不適用 契約期間満了時に更新の適用がないため、借地関係の終了が明確です。
地代の明確性 契約時に地代が明確に定められ、将来の地代改定ルールも予め合意されることが一般的です。

定期借地権の種類

一般定期借地権
  • 存続期間:50年以上
  • 用途:主に住宅用
  • 特徴:契約満了時に更新なく終了し、建物を撤去して更地で返還
建物譲渡特約付借地権
  • 存続期間:30年以上
  • 特徴:契約期間満了時に、借地人が建物を地主に相当な価格で譲渡することを予め約束
事業用定期借地権
  • 存続期間:10年以上50年未満
  • 用途:専ら事業の用に供する建物(住宅以外)
  • 特徴:比較的短期間の事業用途に適する

定期借地権のメリットとデメリット

メリット

  • 借地人:初期投資を抑えて良質な立地に居住や事業展開が可能
  • 地主:土地所有権を保持したまま安定的な収入が得られる
  • 社会的:遊休地の有効活用や住宅供給の促進に寄与

デメリット

  • 借地人:契約終了時に建物を撤去する必要があり、長期的な資産形成が難しい
  • 地主:長期間土地を自由に使用できない

定期借地権の活用例

マンション開発 デベロッパーが定期借地権を利用して分譲マンションを建設
商業施設 大型ショッピングセンターなどの開発に事業用借地権を活用
公共施設 地方自治体が公共施設建設のために民有地を借り上げる際に利用

契約時の注意点

契約内容の明確化 存続期間、地代、建物の取り扱いなどを明確に定める
公正証書の作成 定期借地権設定契約は公正証書による作成が必要
将来の地代改定ルールの合意 長期契約のため、地代改定の方法を予め定めておく
契約終了時の建物処理 撤去費用の負担や譲渡条件などを明確にする

定期借地権は、土地の効率的な利用と住宅供給の促進に大きく貢献する制度です。しかし、その特殊性から、契約時には十分な理解と慎重な検討が必要です。

借地人、地主双方にとってメリットとデメリットがあるため、自身の状況や長期的な計画に照らし合わせて、適切な判断を行うことが重要です。

不動産用語集に戻る

不動産用語をキーワードで検索

「あ行」の不動産用語一覧

「わ行」の不動産用語一覧

ページトップへ