損害賠償額の予定(そんがいばいしょうがくのよてい)とは?

損害賠償額の予定とは、契約当事者が債務不履行時の損害賠償額をあらかじめ契約で定めておくことです。実際の損害額の立証が不要となるメリットがある一方、予定額が実損害を上回る可能性もあります。

宅地建物取引業法では、一般買主保護のため、業者が売主の場合の予定額に制限を設けています。

損害賠償額の予定の基本情報

定義 債務不履行時の賠償額を事前に契約で定めること
法的根拠 民法、宅地建物取引業法第38条
目的 債務不履行時の損害賠償処理の簡便化

メリット

損害額立証
  • 実損害の立証不要
  • 手続きの簡素化
紛争防止
  • 賠償額の明確化
  • 紛争の予防効果

法的制限

制限内容
  • 予定額と違約金の合計
  • 売買代金の2割まで
適用範囲
  • 宅建業者が売主の場合
  • 一般買主との取引

適用除外

業者間取引
  • 宅建業者同士の取引
  • 制限規定の適用なし
一般間取引
  • 一般人同士の取引
  • 制限規定の適用なし

注意点

金額設定 法定制限を超えない額の設定が必要です
取引形態 取引当事者の属性確認が重要です
契約条項 明確な条項記載が必要です

実務上の留意点

契約書作成
  • 予定額の明記
  • 算定根拠の明確化
説明義務
  • 内容の十分な説明
  • 買主の理解確認

デメリット

債務者側
  • 実損害超過の可能性
  • 過大な支払負担
債権者側
  • 実損害未満の可能性
  • 追加請求の制限

損害賠償額の予定は、不動産取引における重要な契約条項の一つです。実損害の立証が不要となり、紛争を予防できるメリットがありますが、一般買主保護の観点から、宅建業者が売主の場合は金額に制限が設けられています。

実務上は、取引当事者の属性を確認し、適用される制限を把握した上で、適切な金額設定を行うことが重要です。また、契約書への明確な記載と、買主への十分な説明も必要です。特に宅建業者が売主となる場合は、法定制限を遵守することが不可欠です。

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