正当事由(せいとうじゆう)とは?

正当事由とは、賃貸借契約において、賃貸人が賃借人に対して契約の更新を拒絶したり、解約を申し入れたりする際に必要となる、社会通念上正当と認められる事由のことです。借地借家法で定められた重要な要件の一つです。

賃借人の居住権保護と賃貸人の財産権保護のバランスを図るための制度として機能しています。

正当事由の基本情報

定義 賃貸借契約の更新拒絶や解約申入れに必要な正当な理由
法的根拠 借地借家法第28条
目的 賃借人の居住権保護と賃貸人の財産権保護の調整

正当事由の判断要素

必要性
  • 賃貸人の土地建物の使用需要
  • 賃借人の使用継続の必要性
従前の経過
  • 建物の利用状況
  • 契約期間の長さ
利用状況
  • 現在の使用状態
  • 将来の使用計画

正当事由が認められやすい例

賃貸人側の事情
  • 自己使用の必要性が高い
  • 建物の老朽化による建替え
  • 賃貸人自身の居住必要性
賃借人側の事情
  • 長期不在
  • 賃料滞納の履歴
  • 代替物件の確保が容易

立退料との関係

役割 正当事由を補完する要素として考慮される
金額の決定 諸般の事情を考慮して総合的に判断
交渉の重要性 合意による解決が望ましい

正当事由が認められにくい例

賃貸人側
  • 漠然とした使用計画
  • 単なる収益性の向上目的
賃借人側
  • 高齢者や病人の居住
  • 代替物件の確保が困難

注意点

総合判断 単一の要素だけでなく、総合的に判断されます
立証責任 正当事由の存在は賃貸人側で立証する必要があります
交渉期間 十分な交渉期間を確保することが重要です

手続きの進め方

事前確認 正当事由の有無を慎重に検討
交渉 賃借人との話し合いを十分に行う
書面による通知 更新拒絶や解約申入れは書面で行う

正当事由の判断は、個々の事案における具体的な事情を総合的に考慮して行われます。賃貸人の自己使用の必要性と賃借人の使用継続の必要性を比較考量し、立退料の提供なども含めて総合的に判断されます。

特に、居住用建物の場合は賃借人保護の要請が強く、正当事由の認定は慎重に行われます。賃貸人は、十分な交渉期間を確保し、適切な立退料の提示なども含めて、合意による解決を目指すことが望ましいでしょう。

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