空中権(くうちゅうけん)とは?

空中権(くうちゅうけん)は、2つの異なる概念を指す用語です。一つは土地の上空空間を使用する権利、もう一つは未利用の容積率を移転する権利です。これらの概念は、都市開発や不動産利用において重要な役割を果たしています。

空中権の2つの意味

1. 上空使用権 土地の上空の空間の一部を使用する権利
2. 容積率移転権 未利用の容積率を他の土地に移転する権利

1. 上空使用権としての空中権

区分地上権 工作物を所有する目的で上下の限られた空間を排他独占的に使用収益する権利
区分地上権に準ずる地役権 自己の土地の便益のために他人の土地の空中を使用する権利

2. 容積率移転権としての空中権

都市計画で定められた容積率のうち、未使用のものを他の土地に移転する権利を指します。

容積率移転の主な制度

  • 特定街区
  • 一団地の総合的設計
  • 高度利用地区
  • 連坦建築物設計
  • 特例容積率適用地区制度

特例容積率適用地区制度

創設年 2001年
特徴 広範囲で容積率を移転可能
適用例 東京都千代田区の大手町・丸の内・有楽町地区(116.7ha)

空中権の実際の運用

  • 容積率の移転は建築確認によって認められる
  • 容積を移転する敷地に対して地役権を設定
  • 移転先の敷地所有者が対価を支払う

空中権に関する注意点

法的性質 直接取引できる制度は確立していない
適用条件 各制度によって適用条件が異なる
地域制限 特例容積率適用地区など、適用可能な地域が限定される
複雑性 法的・技術的に複雑で専門知識が必要

空中権の意義と効果

  • 都市の高度利用の促進
  • 歴史的建造物の保存と周辺開発の両立
  • 効率的な都市空間の活用
  • 不動産価値の最大化

空中権は、都市の高度利用と効率的な空間活用を可能にする重要な概念です。特に容積率移転権としての空中権は、歴史的建造物の保存と周辺地域の開発を両立させるなど、都市計画において革新的な解決策を提供しています。

例えば、東京駅の復元改修後の未使用容積率を周辺の新築ビルに移転することで、歴史的価値のある駅舎を保存しつつ、周辺地域の高層ビル化を実現しています。これにより、都市の景観保全と経済的発展を同時に達成することが可能となっています。

ただし、空中権の利用には複雑な法的・技術的知識が必要であり、適用可能な地域や条件も限定されています。そのため、空中権の活用を検討する際は、都市計画や不動産法の専門家に相談することが不可欠です。適切に活用することで、都市の持続可能な発展と不動産価値の最大化を図ることができるでしょう。

不動産用語集に戻る

不動産用語をキーワードで検索

「あ行」の不動産用語一覧

「か行」の不動産用語一覧

「さ行」の不動産用語一覧

「た行」の不動産用語一覧

「わ行」の不動産用語一覧

ページトップへ