既存宅地(きぞんたくち)とは?

既存宅地(きそんたくち)制度は、2001年5月18日以前に市街化調整区域内で一定の条件を満たす土地において、建築許可なしで建築を認める特例制度でした。この制度は都市計画法の改正により廃止されましたが、不動産取引や都市計画の歴史において重要な位置を占めています。

既存宅地制度の基本情報

定義 市街化調整区域内で一定条件を満たす土地に対し、建築許可なしでの建築を認める制度
根拠法 旧都市計画法43条1項6号
廃止時期 2001年5月18日の都市計画法改正により廃止(5年間の経過措置あり)

既存宅地の条件

  • 市街化区域に隣接している地域内の土地であること
  • おおむね50戸以上の建築物が立ち並んでいる地域内の土地であること
  • 市街化調整区域に編入された際にすでに宅地であったこと
  • 上記について知事の確認を受けたこと

市街化調整区域での建築可能ケース

開発許可を受けた場合 開発許可に適合する建築を行う
建築許可不要の場合 法令で定められた特定の建築物
建築許可を受けた場合 個別に建築許可を取得して建築

既存宅地制度廃止後の経過措置

期間 2001年5月18日から2006年5月17日まで(5年間)
対象 改正法施行日以前に既存宅地確認を受けた土地
許可不要の建築 自己の居住または業務を目的とする建築行為
許可必要の建築 自己の居住または業務を目的としない建築行為

既存宅地制度の意義と影響

都市の拡大抑制 市街化調整区域での無秩序な開発を一定程度抑制
既存権利の保護 既に宅地化された土地所有者の権利を保護
土地利用の柔軟性 厳格な規制の中で一定の建築自由度を確保
制度廃止の影響 市街化調整区域での開発がより厳格に規制される

既存宅地制度廃止後の開発動向

開発許可の厳格化 市街化調整区域での開発がより困難に
地区計画の活用 一定の開発を可能にする地区計画制度の活用増加
既存集落の維持 既存集落維持のための特例制度の検討
コンパクトシティ化 市街化区域内での開発促進、郊外開発の抑制

既存宅地制度は、市街化調整区域内での建築を一定程度許容することで、既存の権利を保護しつつ、無秩序な開発を抑制する役割を果たしていました。しかし、この制度が廃止されたことで、市街化調整区域での開発はより厳格に規制されることとなりました。

制度廃止後は、地区計画の活用や既存集落維持のための新たな特例制度の検討など、よりきめ細かな土地利用計画が求められるようになっています。また、コンパクトシティ化の流れの中で、市街化区域内での開発を促進し、郊外での開発を抑制する傾向が強まっています。不動産取引や都市計画に関わる際は、この制度の変遷を理解し、現行の法規制を十分に確認することが重要です。特に、市街化調整区域内の土地取引や開発計画を検討する際は、専門家への相談を含め、慎重な対応が求められます。

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