既存不適格建築物(きぞんふてきかくけんちくぶつ)とは?
既存不適格建築物とは、現行の建築基準法や都市計画法などの法令に適合していないにもかかわらず、特例により違法建築物とはみなされない建築物を指します。
既存不適格建築物が生まれる背景には、法令の改正や新設があります。建築基準法や関連法令は、社会の変化や安全性の向上などを理由に、定期的に改正されます。
しかし、すでに建てられている建物全てを新しい基準に合わせて改修することは現実的ではありません。そのため、法令施行時にすでに存在していた建築物や工事中だった建築物については、新しい基準に適合していなくても違法とはしない特例が設けられています。
既存不適格建築物の具体例
- 現在の建ぺい率や容積率の規制を超えている建物
- 現行の耐震基準を満たしていない古い建物
- 現在の日影規制に適合していない建物
重要なのは、既存不適格建築物は違法ではないという点です。所有者は通常通り使用し、賃貸や売買の対象とすることができます。ただし、大規模な改修や建て替えを行う際には、現行の法令に適合させる必要があります。
既存不適格建築物の所有者や購入を検討している場合の注意点
- 将来の建て替えや大規模改修の際には、現行法令に適合させるための追加コストが発生する可能性がある
- 法令違反ではないものの、現行の安全基準を満たしていない可能性がある
- 将来的に法令が更に厳しくなった場合、建物の使用に制限が加えられる可能性がある
また、特定行政庁には、著しく保安上危険または衛生上有害と認められる既存不適格建築物に対して、除却などの措置を命じる権限が与えられています。これは、建物の安全性を確保し、周辺環境を保護するための措置です。
不動産取引において既存不適格建築物を扱う際は、その状況を正確に把握し、買主に適切に説明することが重要です。また、将来の改修や建て替えの可能性を考慮に入れて、物件の評価や取引価格を検討する必要があります。
既存不適格建築物は、都市の発展と法令の進化の過程で生まれる避けられない現象です。これらの建物を適切に管理し、必要に応じて改善していくことが、安全で快適な都市環境を維持するために重要です。
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