建築協定(けんちくきょうてい)とは?

建築協定は、敷地や建築物に関する民間の協定であり、特定行政庁(知事・市長など)の認可を受けたものを指します。この協定は、良好な住環境の形成と保全を目的とした重要な制度です。

1. 建築協定の意義

  • 地域の土地所有者等の全員の合意による細かな規制が可能
  • 統一的な良好なまち並みの形成と環境保全に寄与
  • 地区計画より比較的簡便な手続きで設定可能

2. 建築協定で規制できる主な事項

敷地 最低面積、境界線からの外壁後退距離
建築物 耐火性、用途、階数、色彩、意匠
設備 設置場所

建築協定の締結手続き

前提条件 市町村が建築協定の締結に関する条例を設けていること
手順1 協定書の作成
  • 土地所有者と借地権者の全員の合意が必要
  • 借地権の目的となっている土地(底地)の所有者の合意は不要
手順2 公開による意見聴取
  • 地域住民等からの意見を聴取
手順3 特定行政庁への認可申請
  • 必要書類を添えて申請
手順4 特定行政庁による認可
  • 一定の基準に適合する場合、必ず認可されなければならない
手順5 認可の公告
  • 公告の日以降、協定の効力が発生

  • 注意事項:建築物の借り主に関係する内容の場合、借り主も合意に参加する必要があります。
  • 協定書には「建築協定区域」「建築物に関する基準」「有効期間」「違反時の措置」を必ず記載しなければなりません。

4. 建築協定書の必須記載事項

  • 建築協定区域
  • 建築物に関する基準
  • 建築協定の有効期間
  • 建築協定違反があった場合の措置

5. 建築協定の効力

適用範囲 認可の公告日以後の土地所有者・借地権者にも効力あり
例外 合意していない底地権者から底地権を引き継いだ者には効力なし

6. 一人協定

土地所有者が1人の場合、特定行政庁の認可により建築協定を定めることが可能。3年以内に2人以上の土地所有者等が存在すると通常の建築協定となる。

7. 建築協定区域隣接地からの参加

  • 建築協定区域に隣接する土地を「建築協定区域隣接地」として定められる
  • 隣接地の土地所有者・借地権者は全員の合意によりいつでも協定に参加可能

8. 建築協定の変更と廃止

変更 合意した土地所有者・借地権者の全員の同意が必要
廃止 合意した土地所有者・借地権者の過半数の合意が必要
共通事項 特定行政庁の認可が必要

建築協定は、地域住民が主体となって良好な住環境を形成・維持するための重要な制度です。地区計画よりも柔軟に設定できる点や、一人協定制度の導入により宅地分譲業者も活用しやすくなった点が特徴です。ただし、協定の締結や変更には関係者全員の合意が必要となるため、地域コミュニティの協力が不可欠です。適切に活用することで、長期的に安定した魅力的な住環境を実現することができます。

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