買戻(かいもどし)とは?

買戻は、不動産取引において特殊な形態の担保設定方法です。債務者(または物上保証人)が債権者に不動産を一旦譲渡し、後日、その不動産を買い戻す権利を留保する制度です。この制度は民法で規定されていますが、実質的には不動産を担保にして資金を調達する手段として利用されています。

買戻の基本的特徴

定義 債務者が債権者に不動産を譲渡し、債務弁済時に買い戻す権利を留保する制度
法的根拠 民法第579条
実質的機能 不動産を担保とした金銭調達手段

買戻の手続き

契約時 売買契約と同時に買戻特約を結ぶ
登記 所有権移転登記に買戻特約の附記登記を行う
買戻時 債務全額弁済と同時に不動産を買い戻す

買戻の主な条件

  • 売買契約と同時に買戻特約を結ぶこと
  • 買主(債権者)が不動産を占有し、その使用収益による利益を取得すること
  • 買主(債権者)は売主(債務者)から利息を取ることができないこと
  • 買戻の代金は、買主が支払った代金(または合意した金額)と契約の費用の合計額であること

買戻と再売買予約の比較

買戻
  • 民法で厳格に規定
  • 要件が厳しい
再売買予約
  • 要件が比較的緩やか
  • 実務では買戻より多く利用される

買戻のメリット

債務者側
  • 一時的に資金を調達できる
  • 将来的に不動産を取り戻せる
債権者側
  • 確実な担保を得られる
  • 不動産の使用収益が可能

買戻の注意点

期間制限 買戻の期間は5年を超えることができません(民法第580条)
権利行使の制限 買戻権は第三者に譲渡できません
税務上の取り扱い 不動産の譲渡として扱われる可能性があり、税制面での注意が必要です
法的知識の必要性 複雑な制度のため、専門家のアドバイスを受けることが推奨されます

買戻は、不動産を活用した資金調達の一手段として機能しますが、その法的性質や手続きは複雑です。債務者にとっては一時的な資金調達と将来の不動産回復の可能性を、債権者にとっては確実な担保と不動産の使用収益機会を提供します。

しかし、その厳格な要件や期間制限、税務上の取り扱いなど、注意すべき点も多くあります。そのため、買戻を利用する際は、不動産専門家や弁護士などの専門家に相談し、適切な助言を得ることが重要です。また、実務では要件がより緩やかな再売買予約が多く用いられる傾向にあることにも留意が必要です。

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