事業用定期借地権(じぎょうようていきしゃくちけん)とは?
事業用定期借地権(じぎょうようていきしゃくちけん)とは、事業用途に特化した定期借地権の一形態であり、1992年の借地借家法改正によって導入されました。
事業用定期借地権の特徴
目的 | 専ら事業の用に供する建物の所有を目的とします。住居用途での利用はできません。 |
---|---|
契約期間 | 当初は10年以上20年以下とされていましたが、2008年1月1日以降の法改正により、10年以上50年未満に拡大されました。 |
契約の更新 | 契約の更新はありません。期間満了時に借地権は確定的に消滅します。 |
建物買取請求権 | 契約終了時に借地人による建物買取請求権は発生しません。 |
建物再築による存続期間の延長 | 認められません。 |
契約形式 | 公正証書による契約が必要です。これは、契約内容の明確化と紛争予防のためです。 |
特約の必要性 | 契約期間が10年以上30年未満の場合、上記の特約(更新なし、買取請求権なし、再築による延長なし)が必須です。30年以上50年未満の場合は任意となります。 |
事業用定期借地権のメリット
借地人のメリット
- 初期投資を抑えて事業を開始できる
- 長期的な事業計画が立てやすい
- 契約終了時の明確性
地主のメリット
- 安定した地代収入が得られる
- 契約終了後の土地の確実な返還
- 土地の有効活用土地の有効活用
事業用定期借地権の利用例
事業用定期借地権は、商業施設、オフィスビル、工場、倉庫など、様々な事業用途で活用されています。例えば、ショッピングモールの開発や、チェーン店の出店などに利用されることが多いです。
事業用定期借地権の注意点
用途制限 | 事業用途以外での利用は認められません。住居との併用も原則として不可です。 |
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契約終了時の建物処理 | 借地人は契約終了時に建物を撤去し、更地にして返還する必要があります。 |
税務上の取り扱い | 権利金や保証金の取り扱い、減価償却の方法など、税務面での考慮が必要です。 |
契約内容の重要性 | 契約期間、地代、建物の取り扱いなど、詳細な取り決めが重要です。 |
事業用定期借地権は、土地の有効活用と事業展開の両立を図る上で有用な制度です。ただし、契約内容や法的要件が複雑なため、専門家のアドバイスを受けながら慎重に契約を進めることが推奨されます。
また、事業計画と契約期間の整合性を十分に検討し、将来的なリスクも考慮に入れる必要があります。
この制度を活用することで、地主は安定した収入を得つつ将来の土地活用の可能性を残し、借地人は初期投資を抑えて事業展開できるというメリットがあり、双方にとって有益な選択肢となり得ます。
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