時効(じこう)とは?

時効とは、一定期間の経過により法律関係を確定させる法的制度です。この制度は、長期間継続した事実状態を尊重し、法的安定性を確保することを目的としています。

時効の種類

取得時効 所有権、賃借権などの権利を取得する制度。例:長期間占有していた土地の所有権を取得する。
消滅時効 債権、用益物権、担保物権が消滅する制度。例:長期間請求されなかった債権が消滅する。

時効の主な特徴

時効の援用
  • 時効の効果は当事者が主張(援用)して初めて発生する。
  • 裁判所が職権で時効を適用することはない。
時効利益の放棄
  • 時効完成後に、その利益を放棄することができる。
  • 放棄は明示的または黙示的に行うことができる。
時効の更新
  • 時効の完成を妨げる一定の行為。
  • 例:債務の承認、裁判上の請求など。

時効の意義と役割

法的安定性の確保 長期間継続した事実状態を尊重し、法律関係を安定させる。
証拠の散逸への対応 時間の経過により証拠が失われることへの対策。
権利の上に眠る者の保護 長期間権利を行使しない者よりも、実際に物を利用している者を保護する。
取引の安全 長期間継続した事実状態を信頼した第三者を保護する。

時効に関する注意点

時効期間
  • 権利の種類や性質によって異なる。
  • 民法改正により、債権の一般的な消滅時効期間が変更された(5年または10年)。
時効の中断 一定の事由により時効の進行が止まり、新たに時効期間が進行し始める。
時効の停止 一定の事由により時効の完成が一時的に妨げられる。
時効と除斥期間 除斥期間は当事者の援用を必要とせず、期間経過により当然に権利が消滅する。

時効制度の適用例

不動産取引
  • 長期間占有していた土地の所有権取得(取得時効)
  • 借地権の時効取得
債権管理
  • 長期間請求されなかった貸金債権の消滅(消滅時効)
  • 賃料債権の消滅時効
不法行為 損害賠償請求権の消滅時効

時効は、法律関係の安定と公平を図るための重要な制度です。不動産取引や債権管理など、多くの法律関係に影響を与えるため、その基本的な仕組みと効果を理解しておくことが重要です。

また、時効の適用には複雑な要件や例外があるため、具体的な事案については法律の専門家に相談することをおすすめします。

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