遺産分割(いさんぶんかつ)とは?

遺産分割とは、相続財産を相続人が分けることを指します。不動産を含む相続財産の取り扱いに関わる重要な手続きであり、相続人全員の合意が必要となります。

遺産分割の基本情報

定義 相続財産を相続人が分けること
実施時期 原則として相続開始後
参加者 相続人全員

遺産分割の方法

遺言がある場合 遺言に従って分割(ただし、遺留分の問題に注意)
遺言がない場合 相続人全員による協議で決定
協議が不調の場合 家庭裁判所による調停や審判

遺産分割協議の考慮事項(民法規定)

  • 遺産に属する物又は権利の種類及び性質
  • 各相続人の年齢、職業、心身の状態
  • 各相続人の生活の状況
  • その他一切の事情

遺産分割の具体的な方法

現物分割 遺産そのものを現物で分ける
代償分割 相続分以上の財産を取得する相続人が、他の相続人に金銭を支払う
換価分割 遺産を売却して金銭に変換し、その金額を分ける

遺産分割に関する重要ポイント

全員参加の原則 相続人全員が参加していない遺産分割協議は無効
自由な協議 全員の合意があれば、法定相続分に関係なく自由に分割可能
遺産共有状態の取り扱い 法定相続分(または指定相続分)で算定した持分を基準とする
所在等不明共有者の持分取得 相続開始から10年経過後、裁判所の決定で取得可能(2023年4月1日以降)

遺産分割における不動産の取り扱い

評価 不動産鑑定士による評価や固定資産税評価額を参考にすることが多い
共有 複数の相続人で共有することも可能だが、将来の紛争リスクに注意
売却 不動産を売却して現金化し、その代金を分割することも選択肢の一つ
登記 遺産分割が確定したら、速やかに相続登記を行う必要がある

遺産分割における注意点

  • 相続税の申告期限(原則として相続開始から10ヶ月以内)に注意
  • 遺産分割協議書の作成と保管(将来の紛争防止のため)
  • 相続人の中に未成年者がいる場合は、特別代理人の選任が必要
  • 相続放棄をした人は遺産分割協議に参加できない
  • 遺留分侵害の可能性がある場合は専門家に相談

遺産分割は、相続人間の利害関係が複雑に絡み合う難しい問題です。特に不動産が含まれる場合、その評価や取り扱いについて慎重な検討が必要となります。円滑な遺産分割を行うためには、相続人同士のコミュニケーションを大切にし、必要に応じて弁護士や税理士などの専門家のアドバイスを受けることが重要です。

また、2023年4月1日以降、所在等不明共有者の持分取得に関する新しい規定が施行されました。これにより、長期間放置された相続不動産の問題解決の道筋が開かれましたが、適用には条件があるため注意が必要です。遺産分割を円滑に進めるためにも、日頃から家族間で財産や相続についての話し合いを持つことが大切です。

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