被保佐人(ひほさにん)とは?

被保佐人とは、精神上の障害により判断能力が著しく不十分な方に対して、家庭裁判所が保佐人を付けて保護する制度における本人のことです。2000年の民法改正で導入された現在の制度では、本人の残存能力を活かしながら、重要な財産行為について保佐人による支援を受けることができます。

制度の基本情報

定義 判断能力が著しく不十分で保佐人が選任された者
法的根拠 民法第11条(保佐開始の審判)
旧制度名 準禁治産者(2000年改正前)

保佐開始の要件

対象者 精神障害により判断能力が著しく不十分な者
請求権者
  • 本人、配偶者
  • 四親等内の親族
  • 後見人、後見監督人
  • 補助人、補助監督人
  • 検察官

被保佐人の行為制限

同意必要な行為
  • 不動産の売買・賃貸借
  • 重要な財産に関する法律行為
単独可能な行為
  • 日用品の購入
  • 軽微な法律行為

保佐人の役割

同意権 重要な法律行為への同意
取消権 同意なく行われた重要行為の取消し
支援義務 被保佐人の利益を考慮した判断

契約時の注意点

確認事項
  • 保佐人の存在確認
  • 同意の必要性判断
  • 同意書の取得
リスク
  • 同意なき契約の取消可能性
  • 契約の無効リスク

実務上の対応

事前確認 登記事項証明書による保佐状況の確認
書類準備 保佐人の同意書の取得と保管
記録管理 契約経緯と同意取得の記録保存

被保佐人制度は、判断能力が不十分な方の権利を守りながら、社会生活を支援するための重要な制度です。特に不動産取引などの重要な法律行為については、必ず保佐人の同意を得る必要があります。

実務上は、取引の相手方が被保佐人であることが判明した場合、その行為が保佐人の同意を要する行為かどうかを慎重に判断し、必要な場合は確実に同意を取得することが重要です。同意を得ないまま契約を締結した場合、後日取り消されるリスクがあるため、適切な対応が求められます。また、被保佐人の権利を不当に制限することのないよう、同意が不要な日常的な取引については、本人の意思を尊重した対応が必要です。

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