減損会計(げんそんかいけい)とは?

減損会計は、企業の保有する資産の価値を適切に評価し、財務諸表に反映させるための重要な会計手法です。資産の収益性低下による損失を早期に認識することで、企業の財務状態をより正確に表示することを目的としています。

減損会計の基本情報

定義 資産の収益性に基づいて評価し、認識された損失を帳簿価額に反映させる会計手続き
基本的な考え方 回収の見込みがない投資額は損失として処理すべき(時価主義)
適用対象 固定資産、投資資産(金融商品など時価会計適用資産を除く)

減損会計と時価会計の違い

減損会計
  • 資産の帳簿価額自体を減額
  • 評価価額の増加は計上不可
時価会計
  • 損益計算において損失を計上
  • 評価益の計上が可能

減損会計の手続き

  1. 対象資産の確定
  2. グルーピング(一体的に収益を生む複数の資産を単位化)
  3. 減損の兆候の認識
  4. 減損損失の認識
  5. 減損損失の測定

減損損失の認識と測定

認識 資産から得られる割引前将来キャッシュ・フローと帳簿価額を比較
測定 帳簿価額を回収可能価額まで減額
回収可能価額 使用価値または正味売却価額のいずれか高い金額

減損会計の重要性

財務状態の適切な表示 資産の実態に即した価値を財務諸表に反映
投資判断への影響 投資家に対してより正確な企業価値の情報を提供
経営の透明性向上 資産の収益性低下を早期に認識し、経営改善につなげる
国際会計基準との整合性 グローバルな会計基準との調和を図る

減損会計適用の歴史

欧米 国際会計基準の一部として早期に導入
日本 2005年4月1日以後開始の事業年度から全面適用

減損会計に関する注意点

適切な資産評価 将来キャッシュ・フローの見積りなど、適切な評価が必要です。
グルーピングの重要性 資産のグルーピング方法により、減損損失の認識や金額が変わる可能性があります。
継続的なモニタリング 減損の兆候を適時に把握するため、定期的な資産評価が重要です。
開示の充実 減損損失の認識や測定に関する情報を適切に開示することが求められます。

減損会計は、企業の保有資産の実態をより正確に財務諸表に反映させる重要な会計手法です。適切に適用することで、企業の財務状態の透明性が向上し、投資家や利害関係者に有用な情報を提供することができます。

一方で、将来キャッシュ・フローの見積りやグルーピングの方法など、判断を要する要素も多いため、専門的な知識と慎重な対応が必要です。企業は減損会計の適用にあたり、会計専門家や監査法人と緊密に連携し、適切な処理を行うことが重要です。

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