空家に係る譲渡所得の特別控除(あきやにかかるじょうとしょとくのとくべつこうじょ)とは?

「空家に係る譲渡所得の特別控除」は、相続した空家の売却を促進し、空家問題の解決を図るために導入された税制優遇措置です。この制度は、相続した空家の譲渡による所得税負担を軽減することで、相続人が空家を売却しやすい環境を整えることを目的としています。

空家に係る譲渡所得の特別控除の基本情報

制度の目的 相続した空家の売却促進と空家問題の解決
控除額 最大3,000万円(条件により2,000万円)
適用対象 被相続人が住んでいた居住用家屋とその敷地

特別控除の詳細

控除額
  • 原則:3,000万円
  • 例外:2,000万円(令和6年1月1日以後の譲渡で相続人が3人以上の場合)
控除方法 譲渡所得の計算時に、譲渡利益から控除
適用期限 相続開始日から3年を経過する日の属する年の年末まで

適用条件

  • 被相続人が相続開始の直前まで居住していた家屋であること
  • 相続開始日から3年以内に譲渡すること
  • 相続した居住用家屋およびその敷地であること
  • 一定の耐震基準を満たすこと(または取壊して更地にして譲渡すること)
  • 譲渡価額が1億円以下であること

制度のメリット

相続人にとって
  • 譲渡所得税の負担軽減
  • 空家の売却がしやすくなる
社会にとって
  • 空家問題の解決促進
  • 住宅市場の活性化

注意点

適用期限 制度に適用期限があるため、最新の情報確認が必要
他の特例との併用 居住用財産の3,000万円特別控除など他の特例との併用不可
耐震基準 昭和56年5月31日以前に建築された家屋は耐震診断が必要
譲渡方法 譲渡先が親族の場合や、適正な対価を得ない譲渡の場合は適用外

申請手続き

確定申告 譲渡した年の翌年の確定申告期間中に申告
必要書類
  • 譲渡所得の金額の計算明細書
  • 被相続人の住民票の除票
  • 耐震基準適合証明書(該当する場合)
  • 登記事項証明書

制度の今後の展望

  • 適用期間の延長や条件の緩和の可能性
  • 空家の利活用を促進する関連制度との連携強化
  • 地方税(固定資産税など)との連携による総合的な優遇措置の検討
  • 空家の発生予防に焦点を当てた新たな税制優遇措置の導入

「空家に係る譲渡所得の特別控除」は、相続した空家の売却を促進するための重要な税制優遇措置です。この制度により、相続人は最大3,000万円の特別控除を受けることができ、譲渡所得税の負担を大幅に軽減できます。これは、空家の売却を躊躇していた相続人にとって、大きな後押しとなる可能性があります。

ただし、この制度を利用するためには、相続開始から3年以内の譲渡や耐震基準の適合など、いくつかの条件を満たす必要があります。また、適用期限が設けられているため、制度利用を検討している方は、最新の情報を確認することが重要です。さらに、他の特例との併用ができないなどの制限もあるため、自身の状況に最適な選択をするために、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

この制度は、個人の税負担軽減だけでなく、社会全体の空家問題解決にも寄与することが期待されています。今後、さらなる制度の拡充や関連施策との連携により、より効果的な空家対策が進むことが望まれます。

不動産用語集に戻る

不動産用語をキーワードで検索

「あ行」の不動産用語一覧

「わ行」の不動産用語一覧

ページトップへ