相殺(そうさい)とは?

相殺とは、2人の当事者が互いに同種の債権を持っている場合に、一方の意思表示によって双方の債務を対当額で消滅させることを指します。債権の回収手段として、また債権担保の機能としても重要な制度です。

相殺が成立するためには「相殺適状」という条件を満たす必要があり、その効果は遡及的に発生します。

相殺の基本情報

定義 双方の債権を対当額で消滅させる意思表示
機能 債権回収手段、債権担保機能
効果 相殺適状時に遡って債務消滅

相殺の要件(相殺適状)

債権の相対性
  • 同種の債権の存在
  • 債権者・債務者の相互対立
弁済期の到来
  • 双方の債権が弁済期にある
  • 期限の利益放棄可能

相殺のメリット

債権者側
  • 確実な債権回収
  • 担保的機能
  • 簡易な決済方法
債務者側
  • 支払手続きの簡略化
  • 債務の一括処理

相殺が禁止される場合

法定禁止
  • 差押禁止債権
  • 不法行為債権
特約による禁止
  • 相殺禁止の合意
  • 契約条項での制限

効果の発生

遡及効
  • 相殺適状時まで遡る
  • 利息の計算に影響
対当額
  • 債権額の小さい方まで
  • 一部相殺も可能

注意点

要件確認 相殺適状の確認が必要です
禁止事項 相殺禁止の有無を確認する必要があります
意思表示 明確な意思表示が必要です

実務上の手続き

事前確認
  • 債権債務の確認
  • 相殺要件の確認
意思表示
  • 書面による通知
  • 記録の保管

相殺は、債権債務関係を簡易に決済できる便利な制度です。特に、相手方の財産状態が悪化した場合でも、自己の債務の範囲内で確実に債権を回収できる点で、重要な債権保全手段となっています。

実務上は、相殺適状の確認や相殺禁止事由の有無を慎重に確認し、明確な意思表示を行うことが重要です。また、相殺の効果が遡及することから、利息の計算などにも注意が必要です。

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